亮一・・・頼む!

「亮一・・・頼む!」
「しょうがねぇな、やってやるよ。ケラケラ。」
「それじゃあ、俺達は雑魚の目を引きつける。その間に頼む。」
「時間が掛かるかもしんねぇけどな。」
亮一の手が微かに震えている。
何時も自信たっぷりの亮一からは考えられない光景だ。

「どうしたの?早くしないと間に合わないわよ。」
エイリアンと呼ばれるモノは大きな月に向き直った。

今だ!
そう思った時亮一は雑魚を踏み台にして一気に飛び上がる。
大きく木刀を振りかぶる。
距離は十分、後は振り下ろすのみ!


ズブッ

そんな音が聞こえた様な気がした。
春日美月が伸ばした腕に亮一は心臓を貫かれそのまま腕に突き刺さっていた。
絶命している事が見ただけで感じ取れる。

「馬鹿ねぇ。そんな見え見えの手に引っかかる訳無いじゃない。」
そう言うと春日美月は邪魔な物を振り払う様に腕を振った。

ドサッと亮一の体が叩きつけられる。
その衝撃のせいかボールの様に大きくバウンドして落ち着く。
首や足が気味の悪い方向に折れ曲がっている。
亮一がやられた。
それもただ一撃で・・・。
「あ・・・あぁ!」
瑠璃ちゃんが声をあげる。
力無く項垂れるとツカツカと春日美月の方へ歩き出した。
「瑠璃ちゃん!」
「止めないでっ!」
項垂れたまま大きな声をあげる。
その声に伸ばしかけた手を引っ込める。

「私が・・・仇を取りますから。誰も手を出さないで。」
そう言うと瑠璃ちゃんはキッと春日美月を睨みつけた。
「殺す・・・。」
そう呟いて瑠璃ちゃんは駆け出した。
今までに見た事も無い様な瑠璃ちゃんの形相、そして戦闘。
亮一を一撃で倒した相手に一歩も引かない、否一歩勝っているかもしれない。
それ程、瑠璃ちゃんの戦闘はしなやかで素晴らしかった。
剣道とは違った剣術・・・。

「殺す、殺す、殺す、殺すっ!」
そう言いながらも瑠璃ちゃんの剣は常に一歩、春日美月を押している。
「殺すっ!」
一際大きく叫んだ時。
瑠璃ちゃんの武器が春日美月の顔面を捉えていた。

しかしその瞬間

「あ・・あぁっ・・・かはっ!」
瑠璃ちゃんが吐血する。

瑠璃ちゃんの背中から手が生えていた。

「ごめんね、もうちょっと遊ぼうかと思ったんだけど飽きちゃったわ。」

再び春日美月が腕を振る。
瑠璃ちゃんは壁に叩きつけられた。
ゆっくり崩れ落ちる。
それでも瑠璃ちゃんは這いずって亮一の元に近づこうとする。
「うっ・・・あ、あまかす・・・せんぱい。ご・・めんなさ・・・い。るり・・・も・・だめ・・・かも・・・。」

後一歩。

後一歩で亮一のの傍に行けたのに・・・。
そこで瑠璃ちゃんの動きは止まってしまった。

「ねぇ、そろそろ飽きちゃったから終わりにしてもいいかしら?」

そう言った瞬間、蒼白い光が弧を描いて伸びる。

それが近づきそれに触れた瞬間・・・。



END

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