ギャグ編
説明:用務員のおじさんが出てくるまでは一緒です。
用務員のおじさんとの会話で選択肢が追加されるようにしてください。
怪談は苦手だ。 本編へ
怪談は好物です。(はぁとギャグ編へ
校門まで来ると用務員のおじいさんが居た。
「おはようございまーす」
おじいさんもこちらに気づいたのか帽子を取って挨拶をした。
「あぁ、おはよう。今日は早いんだねぇ」
この人は富永 伊知朗。通称富さん。
歳の程は知らないが初老と言う言葉は通り過ぎてしまっていると思われる。
気のいいおじいさんで俺はよく放課後に話をしたりする。
「そうですか?実は朝練に遅刻なんですよ」
あはは、と軽く笑う。
「おぉそうだったのかえ。まぁたまには休むこ
とも必要じゃて」
「そういってもらえると気が楽ですね」
「うむ、あぁそう言えばの。この学校に纏わる
七不思議を女生徒に聞いたのじゃ。聞いていくか
ね?」
怪談は苦手だ。
怪談は好物だ。(はぁと
怪談は好物だ。(はぁと
はっきり言ってしまえば三度の飯より怪談話が大好きな人間である。
「お!ちょっと興味有りますねぇ、それ」
「そうか。じゃあ、用務員詰め所までおいで。お茶位出すよ」
そうして俺達は用務員詰め所に向かって歩き出した。
用務員詰め所は1階の西側の端っこにある。
富さんの話はどれも今一迫力に欠ける話ばかりだった。
てけてけ、花子さん、道化師、その他諸々。
それでも、うちの学園にそう言う話があると言うのは興味の湧く話だった。
「いやぁ、楽しかった」
「ほっほっほ。そうかえそうかえ」
「それじゃあ、そろそろ予鈴が鳴るんで失礼します」
ぬるくなったお茶を一気に啜ると俺は立ち上がった。
「あぁ、そうじゃ。これは忠告じゃ。夜は教室以外の部屋に入ったらいかんぞ。出るらしいからのぉ」
「そうなんですか?解りました。それじゃ失礼します」
そう言って俺は用務員詰め所を出た。
わくわくしている。
今にもスキップをしてしまいそうだ。
顔がにやけているのか通り過ぎていく生徒に横目で見られている。
でも、こんな面白い話を聞いて黙って居られる程、俺は人が出来てない。
駆け足で階段を上る。
ガラララララッ
扉を開けると何時もの様に朝礼前の談笑を他の生徒達は楽しんでいた。
「ういーす、椿。」
「おう、相変わらず低血圧なんだな。亮一」
「ん〜目が開かねぇんだよ、まだ…」
ダラーンと腕を下げて目を瞑りながら立っているこの男は俺の悪友で甘糟 亮一。
剣道の腕は物凄いが低血圧の為に朝早い試合には出られないと言うN学園剣道部の最終兵器だ。
どうしても負けたくない様な練習試合等は敢えて夕方を選ぶ程、腕は期待されている。
「亮一、面白い話聞いたから飯ン時にでも話してやるよ…て、聞いてないか。」
亮一は立ったまま鼻ちょうちんを作っていた。
予鈴が鳴る。
と同時に一人の生徒が勢いよく飛び込んできた。
「ふいぃ、せーふ」
「おつかれさん、夏夜」
「ういうい、さっきぶり。剣志」
四時間目が終わり昼食の時間になる。
どの生徒もわらわらと食堂に向かって歩き出す。
だが俺と亮一、そして夏夜は違っていた。
俺達は購買派なのだ。
うちの学校は食堂が広いためか、食堂に集まる生徒が多いのだが購買は食堂に飽きた人間しか来ない。
よって購買は何時も空いている。
そして、俺達は何時も中庭で昼食を取っていた。
それと言うのも俺達には他にも仲の良い仲間がいるからだ。
購買で2、3個のパンと牛乳を買って中庭に向かって歩き出す。
そこには既に二人の生徒が陣取っていた。
「こっちですよ〜。甘糟せんぱ〜い♪」
大きく手を振っているのは中等部一年の葵 瑠璃ちゃん。
剣道部の後輩で亮一の彼女だ。
そしてその横でこちらを見ているのがその弟で初等部三年の葵 珊瑚。
ひょんなことがきっかけで俺達は何時しか決められた様に行動を共にしていた。
「瑠璃ちゃんも珊瑚もキープご苦労」
「はいぃ。ここは特等席ですから〜。ライバルが多いですしねぇ」
「まぁ、何時も俺らが独占してるけどな」
皆、思い思いにパンを頬張る。
夏夜は今日珍しくお弁当を持ってきたらしい。
「ん、そう言えば面白い話を聞いたんだ」
「あぁ、そんなこと言ってたなぁ」
「うい、この学校の七不思議!」
「………」
全員の空気が止まる。
正確には俺と夏夜以外の空気だ。
「どんな話なの!?」
夏夜は興味津々と言わんばかりに箸を咥えて身を乗り出してきた。
「また、始まったよ…。この二人の怪談好き…」
やれやれと言った感じで亮一が呟く。
俺は用務員詰め所で聞いた話をそっくりそのまま皆に話して聞かせた。
「ふーん。ま、この時期になるとそーゆー話はシーズン入りすっからなぁ」
「そうですねぇ〜。少なからずテレビ欄もそれっぽいお話で埋まっちゃいますからねぇ。」
「そうそ。最近深夜でもなんかやってんだよなぁ。タイトル…エロエロモザイクだったっけか?」
「………」
空気が凍る。
それは亮一の周りがバナナで釘が打てそうな位。
「エコエコアザラクでしょっ!ったく何見てるんだか」
その空気に耐え切れなくなったのかはたまた怪談を変な間違いされたのが気に喰わなかったのか夏夜が怒鳴った。
「んーそれそれ。そんなんまでやりだしてるしなぁ。お前らの季節だな…」
「うい♪で、最後に富さん曰く夜中に教室以外の部屋には出るそうなんだ…」
「ほ、ほんとなの?剣志…」
夏夜は少し竦んだ様に腕を抱いた。
「富さんはそう言ってたよ。」
「ふむ、ではこうしようではないか」
不意に珊瑚が口を挟んだ。
「本日。23時にここに集まり肝試しをしようではないか」
肝試し。
懐かしい響きを思い出した気がする。
「剣志殿が申す通り出るのか出ないのか検証してみれば解るであろう?」
「ん、確かに…そうだけど」
「では決まりだな。23時にここで落ち合うとしよう。」
「ん〜。なんだかドキドキしますねぇ〜」
「うい。んじゃ、そろそろ昼も終わりだ。帰ったらここでまた会おうぜ」
そう言って俺達の昼食は幕を閉じる。
みんなが歩き去った後。
亮一が「フッ」と小さく笑った。
5時間目、6時間目とロクに頭に入らないまま時は過ぎていった。
放課後になって部活の無い日は亮一、夏夜と一緒に帰るのだが今日に限って用事があると亮一は先に帰ってしまった。
夏夜と二人きりの帰り道。
夏夜は俺の事どう思っているのだろう?
ふとそんな事を思いつつ歩いていたら夏夜が先に口を開いた。
「剣志、今日の肝試し楽しみだねっ!」
「ん、あぁ。そうだな」
「あれ?もしかして乗り気じゃない?」
「いや、ちょっと考え事。」
「そっか」
「うい」
「………」
二人きりになるとどうも話す内容が思い浮かばない。
照れなのか焦りなのか知らないけどとにかく落ち着かない。
話しを切り出そうかどうか迷っていると意外と早く別れ道に来てしまった。
「じゃあ、剣志。後でねっ」
「あいよ。遅れるなよ」
「わかってるってぇ」
夕食を終えしばらくぼーっとしてから調度に着くように家を出る。
7月にもなると既に夜も蒸し暑い気がする。
校門をよじ登り中庭に行くとそこには珊瑚と瑠璃ちゃん、そしてタバコを咥えた亮一が待っていた。
「ういーす」
「こんばんはぁ」
「ぎりぎりだな」
思い思いの挨拶を済ませしばらくすると夏夜が走ってきた。
「ごっめ〜ん。」
「気にすんな。まだ20秒くらいある。」
ケラケラと亮一が笑う。
「さて、肝試しと言うからにはやっぱり何か取りに行かなくちゃ行けないのか?」
「御明察。実は私が全て準備しておいた。よって私は参加せぬ。」
「なるほどな、で何をとってくれば良いんだ?」
「うむ、まずはこれを」
そう言って珊瑚はポケットから夜になると光る骸骨のキーホルダーを取り出した。
「雰囲気出てますねぇ〜」
「うむこれを各階の両端の教室の真ん中に置いて来てある。それを取ってここに戻ってくるだけ。
合計で10個だ。シンプルであろう?」
「ふむ」
「ただ1階は例外だ」
「と、言うと?」
「うむ1階だけは端っこの一つ手前。標本室と保健室にあるので注意して欲しい」
「なるほどな。鍵かけられちゃってるもんな」
「うむ、説明は以上。どの様なルートを通っても結構。骸骨君を10個集めて戻って参られよ」
「うし。じゃあ先発は俺と瑠璃ちゃんで行くか」
「はい〜。頑張りましょうねぇ、せんぱ〜い」
「気をつけてねぇ」
「まった。念のためにトランシーバーを渡しておこう。状況報告も兼ねてな。」
「おうこれは準備が良い事で、ほいじゃ。」
中庭から瑠璃ちゃんと亮一が校舎に向かう。
「ガガー、これから校舎入ります。どーぞ」
それから次々と「骸骨発見」の連絡が入る。
時間からして大よそ3、40分。
肝試し特有の「わーきゃー」音は何一つ無いまま、亮一と瑠璃ちゃんは戻ってきた。
「………」
「楽しかったか…?」
「いや…あまり…」
「だよな…」
「てか仕掛けは無いのか?」
「当然であろう。出るか出ないかの話なのだ」
「まぁ、それは当然なんだけど…肝試しって言うからにはなぁ…」
「まぁ、いいや。夜のガッコを歩くってのは結構それだけどきどきするもんだ。なぁ?瑠璃ちゃん?」
「はいぃ。瑠璃は楽しかったですよぉ〜」
そう言って瑠璃ちゃんは亮一の腕にしがみついた。
「うし、じゃあ俺達も行こうか?夏夜」
「う、うん」
「ん、気分でも悪いのか?」
「ううん、行こう。剣志」
「おし、じゃあ行ってくる。」
「いってらっしゃ〜い」
そう言って俺達は校舎に向かった。
「校舎に入ります。どーぞ」
「ガガーッ、らーじゃ。おーばー」
「ね、ねぇ。剣志」
「何?」
「えっと…その…」
「?」
「あの…手…つないでもいいかな…?」
そう言って夏夜は上目遣いで俺を見上げる。
瞳が少しだけ潤んでる様に見えた。
「ん…別に構わないけど」
そう言い終わった瞬間、夏夜は俺の腕にしがみついた。
それ、手を繋ぐ違う…。
やらかいのが当たってるんですけど!?
これは、これで…イイかも。
「じ、じゃあ行こうか」
「うん」
色んな意味でドキドキしながら俺達は校舎に足を踏み入れた。
「上から取っていこう」
そう決めてまず5階に上がる。
教室を覗き込むと机の上に薄っすらと光っている骸骨を見つけた。
「これか…」
それを取って次の教室に向かう。
次の教室も問題なく骸骨を回収できた。
「5階の骸骨2つ回収どーぞ」
「らーじゃ、どーぞ」
「4階の西階段から東階段に向けて進みます。どーぞ」
「らーじゃ、おーばー」
そして、4階西端の教室を開ける。
その頃
「名演技でした、兄上殿」
「クククッ、楽しみだなぁ」
「まさかぁ、二人の為に仕組んだとは思いませんよ〜。」
「まぁそのために俺らが先発したわけだし、ケラケラ。さてそれじゃ俺らは配置に着きますか」
「うむ。」
「はいぃ。それでは、後ほどぉ〜」
4階の東端の教室に入る。
ここは俺達の教室だ。
そこにはやはり真ん中にポツンと骸骨が置かれていた。
「案外楽勝かもな。」
「そうね。これならすぐに終わりそうだね。」
ちょっと惜しいなって思った矢先。
誰も居ないはずのベランダの戸がガタッと揺れた。
「っ!?」
夏夜が掴まっている手に力を込める。
「んだ…風か。脅かすなよ。」
「あ……ああ…あっ!」
「ん?」
夏夜の声にならない声を聞いてベランダを見直す。
「うそ!?」
ベランダには蒼白い光を纏った女の子がこちらを向いて微笑んでいた。
それを目の当たりにした瞬間叫び声も無く俺達は走り出していた。
3階の東階段で息をつく。
「はぁっはぁっはぁっ」
「あれって…本物かなぁ?」
「そんなの、私に解るわけないでしょぉ!」
半分怒気の混じった夏夜の声は微かに震えてる。
「でも、見えたよね…?」
「うん、私にも見えてた…」
「………」
少しの間沈黙が流れる。
「次…行こうか?」
「う、うん」
案の定、夏夜が腕にしがみついてきた。
連絡を終えて東端の教室に入る。
さっきの事があった所為かさっと回収してさっと出る。
教室から出ると
ドーン
大きな音が真横でする。
びっくりして横を見ると大きな生首みたいな物が落ちていた。
「なるほど、妖怪おどろおどろだ。これは神社に住んでて悪さする子供を懲らしめるって言う妖怪なんだな…。
てなんでこんな所にいるんだろう?」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょっ!?」
夏夜が俺の手を引っ張って逃げる。
ちょうど3階の中央に辿り着いた。
俺も夏夜もさっきから走りっぱなしの所為か息が上がっている。
「ちょっと…休もうか」
「うん、疲れたぁ」
はぁーっと息を吐いてへたり込む。
二人の間に会話は無い。
ただ沈黙だけが流れていた。
ドキ…ドキ…
やっぱり胸が高鳴る。
驚きの連続だった所為か結構な速さで鼓動は続いている。
「あのさ」
「あのね」
見事にハモる。
漫画の様な展開だなと苦笑しつつそれでも漫画の様に展開する。
「どうぞ」
「剣志、先でいいよ」
「じゃあ一緒にだな」
「うん」
テンポよく進んだ。
「じゃあせーの!」
「そろそろ行こうか?」
「トイレ行きたいんだけど」
そう言うと夏夜は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「ククッ、ハハハッ」
「もう、笑い事じゃないんだからぁ」
ぷくっと夏夜が頬を膨らます。
「悪い悪い、行って来なよ?待ってるから」
「それが、その…」
「何?」
「で…て」
「ごめん、聞こえなかった」
「外で待っててって言ったのっ!」
そう言って夏夜は俺の手を掴んで女子トイレまで連れて行く。
「………」
「ここで…待ってて…」
そう言って夏夜はトイレの中に入る。
「………」
黙っていたらすぐに夏夜は出てきた。
「もう済んだの?」
「そんなわけ無いでしょ。解ってると思うけど聞き耳とかたてないでよね!耳塞いでて」
「…これでいい?」
耳に手をぴったり押し当てる。
「うん。じゃあ行って来るからそこで待ってて」
そして10秒位経って
「…じ!……の!…じ!」
夏夜が何か言ってるけどうまく聞き取れない。
耳を塞いでいるから当然と言えば当然なんだけど。
すると、夏夜が出てきた。
「居るんなら返事してよぉ!置いてかれちゃったかと思うじゃない!」
「耳塞いでるんだから聞こえないんだけど…」
「う…そっか」
「で…済んだの?」
「……まだ」
「………」
「じゃあこうしよう。剣志耳塞ぎながらなんか喋ってて」
「なんでやねん…」
「だって…怖いんだもん。
「怖いって…」
「いーから出てくるまでそうしてて!行って来る」
数秒してから耳を塞ぎ喋り出す。
「いまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーす
いまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいま
ーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーす
いまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーすいまーす」
しばらくして夏夜が出てきた。
笑いながら…
「あははははははははははははっ!」
「…何?」
「剣志の喋ってる事ずっと聞いてたらスイマースイマーって聞こえてきて発音が可笑しくって」
「………」
「ありがとう、ごめんね。我侭言って」
「いいさ、じゃ。行こうか」
「うん」
そう言って夏夜は俺の腕にしがみつきそして俺達は歩き出した。
3階の西端に着く。
ガラララララッ
骸骨を回収するとガタッと教壇が揺れた。
「っ!?」
「なに?」
「誰だ!?」
「アラヤ〜」
「かわうそですかーっ!?説明しよう。かわう
そって言うのは狐狸と同類の魔獣属で石川県の酒を買いに来…」
「いーから来いっ!」
「ちょっとまってまだ説明が〜っ!」
2階西踊り場
「はぁっはぁっはぁっ」
「さっきから誰に説明してんのよ!」
「モニターの前の良い子のみんなに妖怪のうんちくを…」
「………」
「ごめん、もうしない」
「そう願うわ…」
連絡を入れて2階の西端の骸骨を回収して、東端に向かう途中。
ともすれば早足になりがちだ。
「何にも無しかな?」
「うん、でも珊瑚君言ってたのと違う…。仕掛け無いって言ってたのに…」
「そうだなぁ…ん」
東階段からぼんやりと寝ている様な人影が見える。
「あれ…なんだろ?」
夏夜が心配そうにこっちを覗き込む。
「な、何だろうな。」
そう思った瞬間。
その影はこちらを向き物凄いスピードで近づいて来た。
テケテケと奇妙な音を立てている。
「うそおおおおおっ!?」
「うわあああああっ!?」
俺と夏夜はほぼ同時に駆け出していた。
しかしテケテケのスピードは物凄い。
あっと言う間に追いつかれてしまいそうだ。
「ちょっとやだやだやだ〜っ!」
夏夜は半分泣きそうな声を上げながら走っている。
テケテケ…その対処方は…。
追いつかれる…。
あと少しで踊り場。
そう思った時。
「夏夜!」
彼女の手を引いて踊り場で急カーブした。
テケテケは勢い余って止まる事は出来ず壁に激突した。
「はぁっはぁっはぁーっ」
二人揃って踊り場でへたり込む。
「これ…本物なのぉっ!?ねぇ、剣志!」
そう言って夏夜は俺を揺さぶる。
夏夜はもう泣いていると言ってもいいだろう。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」
下の踊り場から笑い声がする。
「この声…」
見てみるとそこには亮一が腹を抱えてのたうち回っている。
「ひひゃはははは、ひーひーひー。」
「………」
「椿と悠木ってば、俺のテケテケ本気にしてやんの!うひゃひゃひゃひゃっ!」
良く見るとテケテケは赤ちゃんが押して歩くとカタカタ棒が跳ねる歩行器みたいな形をしていた。
そして、随分とでかいゴムがついている。
「腹いてええええええっ、ひゃひゃひゃ!」
「………」
「はーはーはーあー面白い」
「落ち着いたか…」
俺も夏夜も厭きれ気味で話し掛ける。
「もう骸骨探さなくていいぞ。もう無いから」
「………」
「うし。1階に瑠璃ちゃんも珊瑚もいるから行こうぜ」
そう言って亮一は一人で下に降りてて言ってしまった。
「はぁ…行こうか?」
「うん」
1階に着くと珊瑚も瑠璃ちゃんも待っていた。
「お疲れ様です〜椿せんぱい、悠木せんぱい。」
「楽しんで戴けたかな?」
正面玄関に向かって歩きながら答える。
「えぇそれはもう十分に」
「ふむ、それは良かった」
「しっかしまぁ良く作ったよなぁ」
「俺のテケテケか?ケラケラ。大急ぎで帰って作ったんだぜぇ。製作4時間の力作だからな!」
「それで今日さっさと帰ってたのね…」
「おうよ!」
えっへんと胸を張る亮一。
「で、珊瑚は何したの?」
「私はおどろおどろを作ったぞ」
「へぇ、瑠璃ちゃんは?」
「私はかわうそですよぉ〜」
「なるほどねぇ」
「力作と言えば教室に出た、女の子!」
「そうそうあれは凄かったよねぇ!」
「あれは誰が作ったんだ?」
そう聞くと三人は顔を見合わせた?
三人の顔はどれも「おまえか?」と言う意味が込められていた。
「誰か4階に仕掛けなんか作ったか?」
「私は知らんぞ」
「瑠璃も行ってませんよぉ〜?」
え?
「え、誰も…やってないの?」
三人が一斉に頷く。
その瞬間、急速に血の気が引いていった。
「じ、じゃあ私達が見たのって…?」
「ま……マジモノ?」
………………
「うそおおおおおおおおおおおおおん!?」
「いやだあああああああああああああ!?」
俺と夏夜は一斉に走り出していた。
「…………」
「何が有ったんだ、あいつ等?」
「知らぬ」
「本物でも見たんでしょうかねぇ〜?」
「え゛っ、マジで?」
「さぁどうでしょう〜?冗談にしては本気で逃げてるみたいでしたけどぉ〜」
「………」
亮一と珊瑚が走り出す。
「あ!まってくださ〜い」
富さんの話しが真実かどうかは知らない。
でも、富さんが言ったのとは逆に教室に出た事は俺と夏夜しか知らない…。
その翌日から当分俺と亮一と夏夜が部活を早めに切り上げて夕方には帰路に着く日々が続いたのは
言うまでも無い……。
ちゃんちゃん