1930
律子P「千早ちゃんに繋いでもらえますか?」
小鳥「では千早ちゃんに電話を繋ぎます…あれ?」
律子P「どうしました?」
小鳥「千早ちゃん呼び出しても出れないみたいですね…」
律子P「そうですか…それじゃ仕方ないですね…分かりました」
プロデューサーはパタンと携帯を閉じる。
律子P「駅に…いないだろうけど…気になるなぁ」
携帯を閉じてプロデューサーは駅に向かって走り出した。
2000
住宅街に着いた千早は足を止めて耳を澄ましていた。
パタパタと雨の振る音だけを聞いていた。
千早「?…」
瞳を閉じて千早が耳に更に神経を集中する。
少し離れた場所から微かに音が聞こえた。
ガシャンと何か固いものが落ちてくる音が続いて聞こえる。
街灯が向こうから歩いてくる人影を照らし出す。
千早「見つけた…律子」
千早が律子の姿を確認する。
律子「っ?」
律子は人影を確認すると身構えた。
律子P「あれ…?千早ちゃん?」
プロデューサーの携帯からはツーツーッと電子音が鳴っていた。
居ても立ってもいられずプロデューサーは住宅街に向かって走り出した。
千早「私よ、律子」
そう言うと千早はフードを外した。
律子「その声…千早」
千早「律子、何があったの?みんな心配してるのよ?」
律子「…」
千早「説明して頂戴」
律子「千早…」
千早「なぁに?」
律子「私、ね?」
律子の体が微かに震えている。
千早「律子?」
律子「私…プロデューサーの、事が…」
千早「…」
律子「好きなの…」
千早「え?」
律子「でもね…でも、うぅっ…すんっ…。ど、すれば…いいかっ…。わか…なぃ、の…」
千早「律子…」
律子「少し…独りにさせて…ぉねがい…」
涙を零しながら懇願する律子に対して千早は声を掛ける事が出来なかった。
普段勝気な律子が弱々しい姿を晒している。
千早「…わかったわ」
律子「…」
千早「思う存分悩んで答えが出たら、戻ってきて」
律子「うん…約束する」
千早「約束したわよ」
そう言って千早は微笑むとフードを被り直し走っていった。
律子は千早の姿が見えなくなるまで見送っていた。
律子「ありがとう、千早…」
駅前に着いたプロデューサーは肩で息をしながら辺りを見回していた。
律子P「いないか…くそっ!」
プロデューサーの携帯電話が鳴り響く。
律子P「はい」
小鳥「プロデューサーさん、小鳥です」
律子P「小鳥さんから電話が来るって事は…」
小鳥「残念ながらタイムリミットです…」
律子P「そうですか…分かりました。また明日…探してみる事にします」