「ふぅっ…あっ!はぁっ…はぁっはぁ…」
湿っぽい吐息が美希の口から漏れた。
「美希、大丈夫か…?」
中学生離れした、胸元を溜まっていた汗が吸い込まれる様に伝っていく。
見れば
プニプにと柔らかそうな二の腕にも
ちょんと可愛い小鼻の上にも
小さな汗の粒が滲んでいた。
「はぁ、んっうん。た…ぶん」
美希は火照った体に汗が滲もうとそれを拭う事もせずそう答えた。
ゴクリと唾を飲み込む美希の喉が妖艶に小さくうねる。
「熱っ!…んっっ…はっ!はぁっ…はぁはぁ。やっぱり、きつい…の」
そう呟くと美希は潤んだ瞳をすまなそうにプロデューサーに向けた。
「そっか…うん、ちょっと無理があったかな?仕方ない」
言い聞かせるようにプロデューサーが言う。
「あっ!待って…」
身を翻そうとしたプロデューサーを美希はプロデューサーのはだけた襟元をキュッと摘まんで制止した。
「お願い、ハニー…。ミキ…頑張るから、待って…?」
プロデューサーの言葉が諦めた様に聞こえたのか
美希は置いていかれた子犬の様に寂しそうな声で言った。
今にも零れてしまいそうな涙を瞳に浮かべ真っ直ぐプロデューサーを見つめている。
プロデューサーは少し哀しい様な複雑な表情をすると小さく息を吐いた。
「ごめん…美希」
プロデューサーの言葉に美希が目を細めると視界は一気にぼやけ涙がつーっと頬を伝って行く。
「ハニー…」
「辛い思いさせて、ごめん。もう少し…頑張れるか?」
プロデューサーは優しく微笑んだ。
その顔を見てグシグシと乱暴に涙を拭うと美希も”ミキなり”の精一杯の笑顔で微笑む。
「うん!ミキ…頑張る」
「美希…ありがとう」
「あ、ハニー?」
「ん?」
「ハニーのだったら…ミキ、へーきだよ…?」
そんな事を美希は照れた様な恥ずかしい様な表情で甘える様に言うとチュッとプロデューサーの右頬にキスをした。
一瞬戸惑ったプロデューサーだったがすぐにクスッと小さく笑った。
「解ったよ、美希」
「アハ♪ありがとう、ハニー♪」
じわりじわりと美希の柔らかな肌が熱さを増していく。
美希の体は既に紅く染まっていた。
「はぁっ、あっ!ハニー…」
苦しそうに肩で息をしなが美希が声を上げる。
舌が出そうな程開いた口からは艶っぽい声と息が荒々しく漏れていた。
「美希、もう少しだから…力を抜いて」
そんな美希を見てプロデューサーも優しく声を掛ける。
「あっ、痛っ!?だめぇ…やっぱり、はぁはぁ。はいらな…かも」
暑さの所為か徐々に美希の息遣いが早さを増していく。
「美希」
「んんぅっ!…んっあっ…はぁはぁはぁはぁっ、ん…くっ。ぁ、ん…」
「美希?」
「はぁっ、はぁっ…あっ!ハニー…」
「美希っ!」
「はぁはぁ、ハ…ニっっっっっっ。あぁっ!」
ガコン
と音がすると同時にプロデューサーの叫び声が鳴り響いた。
「もう、やめてくれえええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!」
「はぁっはぁっはぁっ!入っ…たよ?ハニー」
そう言うと大きく息を吐いて美希は額の汗を拭った。
「あつーい…ハニー、ミキ飲み物飲みたいなっ♪ってハニー聞いてるの?」
「あぁぁぁぁ、聞いてるさ!聞いてるともさっ!飲み物だろ…ほらっ」
とごそごそと鞄を開けてプロデューサーはちょっと前に買ったキンキンに冷えたジュースを美希に投げて渡した。
「ありがとう♪」
ゴクゴクとジュースを飲むたびにうねる美希の喉を汗がキラリと滴っていき胸を伝っていく。
「はぁ…」
大きく溜息を吐いてプロデューサーは項垂れた。
「ハニー、さっきから元気ないね?どしたの?」
ジュースを一気飲みした美希が口を手の甲で拭きながら空き缶をプロデューサーに手渡した。
「どうしたもこうしたもないっ!なんつー声を出すんだ!」
プロデューサーが声を上げると反発する様に美希も声を上げた。
「むー。だって入らないんだもん!あんなに大きいの!」
そう言うと美希はビシッと指を指した。
その先には小さなダンボールの箱が置いてある。
「郵便受けが小さいのはミキのせいじゃないの!」
「だからってあんな声出さなくても…」
「でもハニーが持ってたおっきい本だったら入るな、って思ったから頑張って入れたの!」
ぷんすかと湯気が立つほど美希は怒ったのか腕を組んでプロデューサーを睨み付けた。
「それに、ハニーが一日郵便局長の仕事取って来たんだよ!」
「う…それは確かにそうだが…」
「だから、だからミキ頑張ったのに…。怒るなんて酷いよ…」
いつの間にやら怒りが悲しみに代わっていたのか、今度はポロポロと涙を零し始めた。
「うぅ…スン…」
「う…ごめん」
「ぐす…」
「俺が…悪かったよ…」
「すん…ホントに、そー思ってるの?」
怒る様な少し低い声で美希は話し始めた。
「思ってるよ…」
「ホントにホント?」
「ホントだよ」
「じゃあギュってして?」
「え?」
「うぅ…ぐす」
「泣かないでくれ…」
プロデューサーがギュッと美希を抱き締める。
美希はすがる様にプロデューサーに体重を預けたかと思うと不意にプロデューサーの首に腕を回した。
そしてプロデューサーの肩に顎を乗せる。
「ハニーのばかぁ…」
「反省してるよ…」
「ホント?」
さっきも同じ様な事があったのでプロデューサーは警戒せずにはいられなかった。
半ば予想しつつも既に美希に主導権を握られている今、罠と解っていても足を踏み入れなければならない。
「うん…」
「ホントにホント?」
「う、うん…」
やはり罠だったとまな板の上の鯉よろしくプロデューサーは返事だけを返した。
「じゃあ、チューして?」
「…」
「今、溜息吐いた?」
「まさか…美希、ほら目ぇ瞑って」
「うん」と一つ微笑んで言うと美希は肩に乗せていた顔を下ろして目を瞑り気持ち顎を上向けた。
(まったく、おかしくなりそうだよ…)
心の中でそう呟きながらもプロデューサーはそっと美希の唇を塞いだ。
「ん…ふ、ん」
プロデューサーの唇を食(は)む様に美希は口を動かして何度も求めた。
「んっ…ん。んあ…」
絡ませた舌がつと糸を引いて離れていく。
「んふ♪ハニー、大好きなの♪」
そして嬉しそうに抱きついて美希はプロデューサーの耳元で囁いた。
「ミキ、ハニーのだったら…ホントにへーきだよ?」
クスッと子悪魔的な表情を見せて美希はプロデューサーの耳元に軽く口付けた。
―終わり―
あとがき
今回は美希の超短編読んで頂いてありがとうございました。
えー、こんなんですいませんでした…。
いやぁまぁ何となく小鳥さんの話しを書いてからチャレンジ一年生よろしく1回位頑張ってみようかなぁと…。
やっぱり美希は書きやすい気がします。
お気に入りのキャラだからでしょうか?
それは兎も角として、こんなでしたが如何だったでしょうか?
これはお仕事中に郵便屋さんがこの暑い中必死でちっさい郵便受けにニッセン(?)だかなんだかの分厚い雑誌を
必死に入れようとしてた所を目撃して以来いつか書こうと心に決めてました…。
因みにそれを見て最初に思い浮かんだ秋風的ネタ=セリフは
「ハニーのだったら…ミキ、へーきだよ…?」です…。
どうかしてるのはプロデューサーではなくきっと秋風の頭の方ですね。わかります。
一応タイトルは 美希の郵便局長な一日が正解です。その他は…考えてはいけません!
ちょっとはそんな気分になって頂けると嬉しいですし、思わす「くっ!」と唸ったり「プッ!」と笑って頂けても嬉しいです。
両方も可 です。
結構気楽に書いたのでこれはこれでいいなあとかこんな感じで毎回何か書けないかなぁと思う次第です。
それでは次回の千早がご期待に添えるといいなぁと祈りながら、あとがきを終わります。
ありがとうございました〜。